日本に住んでいた頃は気にもしなかった桜ですが、海外に長く住むとなぜか桜と日本は切っても切れない関係にあることに気付きます。

ポートランド市の川岸にも桜並木があり、この時期は綺麗な桜を楽しむことができます。

先週末ポートランドのコンドからワシントンの自宅に戻ってくると、昨年庭に植えた桜にぽつぽつと花が付いていました。
自宅に植えた桜の木はまだ2メートルに満たない小さな木なので顔のレベルで花が見えます。

早速、花見と決め付けてモンテクリスト マドュロ ロブスト(まだ日本では販売していません)に火をつけました。
40分ほど5本ある桜の木を一本一本見回りながら葉巻を楽しみました。

桜と日本。桜と思い出。日本の思い出。
そんな感じでアメリカに初めて住み始めた頃のことを考えました。

あのころは確かに祖国をはなれて海外に住んでいると言う切ない感じがありました。

しかし近年では破格の航空運賃やインターネットのおかげで日本との連絡、往復も気軽にできるようになり、海外に住んでいてもあの独特の海外生活の孤独な感じはなくなりました。
おまけに近所のスーパーマーケットではパック入りの寿司を普通に買うことができるのです。
まあこれも時の流れなのでしょうが、少しさびしい感じがします。

そうしてふと思ったのですが、思い出の世界に浸る時には葉巻ほど完璧なパートナーはありません。

ステーキハウスと葉巻の関係

アメリカでも上等なステーキは特別で祝い事や商談などの時に食べに行くのが恒例です。

大抵のレストランのメニューにステーキはありますがアメリカで上等なステーキを食する場合はやはりステーキハウスと呼ばれる専門店に限ります。

有名なところではRuth’s Chris Steakhouse、Hy’s SteakhouseやMorton’s steakhouseなどがあります。

アメリカの高級レストラン(ステーキハウスを含む)には大抵、バー(食事を注文しなくてもお酒だけ飲むことができる)とダイニング(基本的には予約して食事をする)があります。

ちなみにMorton’s Steakhouse のバーはアメリカでも数少ない葉巻の吸えるレストランバーのひとつです。
レストラン内のバーはレストラン客が待ち合わせや予約したダイニングの時間までの軽く一杯ひっかけるために使われます。

バーでマティーニを片手に葉巻を吸って時間をつぶし、綺麗なウエイトレスの案内で飲みかけのマティーニをそのまま持って(場合によってはウエイターが別に運んでくれる場合もある)ダイニングに移動し12オンスの巨大なステーキを平らげる。
これが私の考える理想的なアメリカでのステーキの食べ方です。

葉巻をゆっくり吸いたい場合はこの順序を逆にします。まずステーキを食べてそれからバーに移動してカクテル片手に葉巻に火をつける。
さてステーキハウスで吸う葉巻のサイズですがはやはりロブストもしくはトロサイズです。
やはりあの巨大なサイズのステーキと合わせるにはコロナサイズでは葉巻がステーキに負けてしまいます。

ミゲールのヨット

南米のニカラグアといえばオリバなどの有名な葉巻を生産している国です。

私の十年来の親友の一人ミゲールはニカラグア出身です。
彼とは大学院時代に知り合いITバブルの頃には一緒に会社を立ち上げたこともあります。
その会社はITバブルに乗ることなく数年でなくなりましたが、彼との友情はまだ続いています。

ニカラグア出身なら当然葉巻に通じていると考えたくなりますが、彼は葉巻はまったく吸いません。

そのミゲールが一年ほど前に中古のセールボートを購入しました。
30フィートの外洋船です。
ミゲールの予定はこのヨットを完全にレストアして世界一周に出かけることです。

彼曰く男は誰でも一度は大きな夢を持つ、でも人生の中でその夢を実際に実行できる男は数少ない。
彼の場合はヨットで世界を回ることが夢であり、現時点で妻も子供もない彼にとってその夢を達成するのは今しかないということです。

ミゲールの予定では今年の8月には出航することになっています。
果たして本当に予定通りにいくのかどうかはレストアの進み具合次第です。

私も週末に時間があれば彼のヨットのレストアに付き合います。
一日の作業が終わり葉巻に火をつけると煙の向こう側にミゲールと彼の船が何もない水平線を目指して進んでいく様子が浮かびます。

夢を追い続けることができる男というのはどこか寂しい感じがすると思うのは私だけでしょうか。

アメリカでのWBC

昨日、日本が韓国を5-3で破りWBC二連覇を決めました。

日本のニュースはネットでしか見ることができないので良くわかりませんが日本国民皆が勝利を喜んでいたようですね。

ベースボール発祥の地アメリカではWBCはスポーツ記事としてもあまり大きく取り上げられませんでした。
全米大学バスケットボールがスポーツ記事の一面で日本のWBCでの優勝はその裏に載っていたぐらいです。

アメリカという国はスポーツに関してはとても自己中心的でアメリカ国内でしか行われていない試合にWorld series(世界選手権もしくは世界大会)という名をつけるのです。
そのくせ実際に世界中で行われるスポーツ、サッカーワールドカップ、フォーミュラー1、世界ラリー選手権、世界スケート選手権、世界ラグビー選手権などには国民のほとんどが興味を持たず国内向けスポーツだけがテレビや新聞に取り上げられるのです。

世界レベルのスポーツに国民が興味を示さない理由はアメリカの約半分は田舎であり国際感覚のない人々で占められていることによります。
こういった人々にとってはアメリカが世界の全てでありほかの国の存在はほとんど意味を持っていないのです。
それゆえにWBCやサッカーワールドカップの存在すら知らない人がたくさんいるのです。

アメリカは世界の国々と比べるといろんな意味でとても田舎っぽい国なのです。

昔聴いた話ですがアメリカ人の金持ちはどんなにお金を持っていてもイギリスやフランスの社交会には本当の意味で入れないそうです。
その理由は案外アメリカ文化の根底にある田舎臭さにあるのかもしれません。
幸いなことに葉巻を楽しむ現代のアメリカ人は国際感覚に優れた人が多いと思います。

S-CHIP

S-CHIP(State Children’s Health Insurance Program)
たぶん日本にお住まいの方は聞いたこともない言葉だと思います。簡単に訳すると州立子供介護保険制度といったところでしょうか。

アメリカという国は50の州からなりたっておりFederal (合衆国政府)とState(州政府)の二つの法律があります。

税金も州と合衆国政府に別々に収めることになります。そのため介護保険も一部は合衆国政府が州に補助金を出してまかなうという形で行われるのです。

さてこのS-CHIPですが、この保険制度にかかる費用は100%タバコ税でまかなうことになっているのです。オバマ政権下ではS-CHIPの予算が大幅に増やされると予想されています。葉巻愛煙家にとってこれは下手すればシガー1本あたり$3の増税になるかもしれないといわれています。

現実的には一本につき$1ぐらいの増税の可能性があります。このタバコ税はFederalレベルでかかってくるためアメリカで流通しているタバコすべてが対象になります。

葉巻の末端価格にこの増税がどれ位い影響を与えるかはまだわかりません。
増税後は葉巻に火をつけるたびに$1の社会福祉貢献していることになります。
医療費の払えない子供たちを助けているんだと思いながらモンテクリストホワイトあたりを優雅に葉巻をくゆらすのも悪くないような気がします。

ラスベガスと葉巻

先週末は仕事でラスベガスでした。

個人的には賭け事に興味がないので、私のベガスでの楽しみは道行く人を眺めることです。

実にベガスにはありとあらゆる容姿の人々がこれまた実に面白い格好で集まってきます。
下手なショーより歩道でこれらの人々を眺めることはここでしか味わえない楽しみです。

なんでもありのこの街は歩きタバコも、歩きながらビールやマルガリータを飲むこともすべてありの世界です。
それにベガスほど葉巻が似合う都市もそうありません。
しかし歩道で歩きながら葉巻を嗜むことは、やはり歩行者の迷惑や安全を考えるとあまり勧められたものではありません。

シーザーズパレスの中には人気のある葉巻バーがあり、そこでシングルモルトとともに葉巻を楽しむこともできますが、この葉巻バー個人的には少し煙たすぎると思います。

そこで私のお気に入りベガスでの葉巻スポットについて書いてみます。

べラジオの向かいバリーホテル正面の歩道沿いの縁石です。
ホテル入り口の植木沿いに丁度いい縁石があり、ここに腰掛けて道行く人を眺められるうえ、べラジオの噴水ショーも真正面から見ることができます。

この場所はバリーホテルが歩道から奥まって建っているため、歩道にかなりの幅があり縁石に座って葉巻を吸っても人の迷惑にはなりません。

仕事が終わってゆっくり一人でこの縁石に座り道行く人々を眺めながらモンテクリストを燻らしていると人々の人生について考えます。

みんな夢を持ってこの世に生まれ、そして現実に揉まれる日常を忘れるためにこの街に来るのでしょう。

この町は確かに人々の欲望と夢とをコンクリートと張子の彫刻で実現してくれるのです。

この町では若い女性は肌をいつも以上に出すことでセレブになり、男性はフェラーリをレンタルしてベガス通りを走ることでミリオネアになることができるのです。

人の人生に夢と欲望があり、そこに現実とのギャップがある限り人は今日もベガスに来るのだろう、そう思いながら葉巻の灰を歩道に落としました。

オレゴン富士

先週末は三日間でやく700マイル運転しました。

仕事が終わってからワシントンの自宅からポートランドへ、次の日の朝ポートランドからMount Hoodを通過してオレゴンのスキーリゾート地Bendまで走り、一泊して自宅まで帰るという強行軍でした。

Mount Hoodではまだ雪がたくさん残っており30マイルほどアイスバーンの山道を時速60マイルから70マイルのスピードで少しテールを滑らせながら走りこむことができました。

このMount Hoodは形が日本の富士山に似ているということでオレゴンに住む日系人の間ではオレゴン富士と呼ばれています。
私自身は富士山そのものをじっくりと見たことがないので(写真ぐらいです)正確な比較はできませんが確かに火山としての形は似ています。

オレゴン富士の山道は結構楽しく走ることができましたが、アメリカの田舎道を走った経験のある方ならわかると思いますが、基本的にアメリカの道は真っ直ぐで長距離運転は単なる睡魔との闘いです。

アメ車といえばハンドリングが悪いという定説があるのもアメリカで販売するだけの車ならハンドリングより乗り心地優先で作られていたからでしょう。

今回のドライブでも700マイル中30マイルが山道で670マイルは直線でした。
おまけにいつものトラベルヒュミドールを携帯するのを忘れたためオレゴン富士を眺めながらのシガータイムもお預けになりました。

初めての葉巻

皆さんにとっての初めての葉巻覚えていますか?

私にとっての初めての葉巻は大学院生のころフィリピンで購入した自分の名前入り葉巻でした。

値段は覚えていませんが、土産物屋で前日に注文すると翌日には自分の名前、もしくはイニシャルを入れた葉巻25本がこれまた名前入りの木箱に入ってくるというものでした。

フィリピンには結構いける葉巻もありますが、この名前入り葉巻はタバコの品質から言えばかなり問題がある品物だったと思います。
今でもおぼえていますがこの土産もの葉巻を吸った次の数日は口の中に苦味が残り、葉巻とは実に苦しいものだと思いました。
この25本を消費するのに2年以上かかりました。
その結果、葉巻は数年間吸いませんでした。

数年後、キューバを学会で訪れる機会があり、初めてキューバ産葉巻を味わいました。

キューバ産とフィリピン産葉巻の違いに驚くとともに、葉巻のおいしさを始めて感じたのもこのときです。

アメリカ本土ではキューバ産葉巻は販売禁止されていますのでキューバ産は手に入らず、始めは仕方なしに恐る恐る南米産の葉巻を購入しました。

そこで私にとって葉巻、二度目の感動が訪れます。
南米産はとてもいい。物によってはキューバ産よりおいしい。これは正直な感想です。そして今日もヒュミドールを眺めながら今夜はどの葉巻にしようかなと悩む今の自分ができました。正直、葉巻に対する幅が広まった印象です。

今日も先ほどから今夜の一本はOlivaCAOかで悩んでいます。一日に2本消費すると妻に怒られますので。

シガースモーキングルーム

現在、ワシントンの自宅に葉巻を吸うための部屋を増設しています。
正確に言うと現在住んでいる家の一階部分を車二台分の車庫と妻のエクセサイズルームにリフォームしているのです。
車庫部分に日本で言うところの四畳半ぐらいのスペースをとり、そこをシガースモーキングルームとして利用できるように設計しました。

室内で葉巻を吸う場合、やはり煙の問題が一番なので、このスモーキングルームの天井にはファンを二台取り付けて煙を直接外部に吸いだせるようにしてあります。

完成時にはこのスペースにソファーを置きガレージにある自分の車をながめながら葉巻をエンジョイできるようになる予定です。
さて、リフォームに関してですがアメリカではDIY(Do it yourself)も半端ではなく、基礎の大工工事から電気の配線、内壁、床板の設置、トイレと水道の配管、もちろんペンキ塗りまで、すべて自分でやってしまうのです。
私も今回のリフォームに関しては内壁以外はすべて家族総出でやりました。

昨年夏に始めたこのリフォームも後は床板を張ってペンキを塗れば完成です。
本当は今年の冬までに完成させたかったのですが、半年以上遅れてしまい、寒かった冬ももうすぐ終わります。
今年の冬は寒かった。でも寒さをこらえて葉巻を吸うのも今年限りだ、そう思いながら今夜もロッキーパテルに火をつけます。

Mardi Gras

今年は2月24日がMardi Grasでした。

日本ではほとんど聞くことのない祭りですが、あのニューオリエンスで町をあげて仮面をかぶった人々や、きわどいビキニの女性たちが繰り出すパレードの日といえばわかるかもしれません。
この日はリオのカーニバル最終日でもあります。

Mardi Grasはフランス語で英語に訳するとFat Tuesday、太った火曜日という意味です。

さてどうしてこの火曜日を太った火曜日と言い、世界中のあちこちでパレードが繰り出され、男も女も食べ、飲みそして踊るのか、そしてその全てが夜中の12時丁度に終わるのか、その理由はアメリカ人でも知らない人がたくさんいます。

Mardi Grasの翌日は灰の水曜日、英語ではAsh Wednesday といいます。
灰の水曜日はキリスト教、正確にはカトリックの重要な日なのです。

カトリックの教会でもっとも大切な日は復活祭、キリストが蘇ったとされる日ですが、その復活祭から40日まえが毎年の灰の水曜日と決められています。
なぜ40日かというと聖書によればキリストは十字架にかけられる前40日間砂漠で断食をしたと書かれているからなのです。
この40日間はカトリック信者にとってはキリストに学んで自分の欲望を我慢する時期とされています。

多くの人が断食や食事を簡素なものだけにしたりするのです。
そこで断食が始まる前に思いっきり食べ、飲みそして欲望の限り楽しもうというのがすなわち灰の水曜日の前日、Fat Tuesdayなのです。

ちなみに灰の水曜日の灰は、人は灰から生まれ灰に戻るというカトリックの教えによるもので、残念ながら葉巻の灰ではありません。