明日の糧

今日も仕事が終わってから家のバルコニーで葉巻に火をつけました。
いつもと違うのはジャケットをクローゼットから取り出したことです。
ほんの数日前までは肌で夏の終わりを感じながら、夕焼けに消えていく葉巻の煙を目で追っていたのですが、今日はジャケットなしでは葉巻を楽しむことはできませんでした。

今年の夏は妻の仕事の関係でまとまった休みがとれず、毎年楽しみにしている南の島でのダイビングもお預けでした。
長年南の島で暮らした私は、休暇といえば白い砂浜と椰子の木、それに時間とともに色を変えていくコバルトブルーの海と決めています。

南の島でのバカンス抜きの夏が終わり、こうして東ワシントン州の片田舎で一人、猫を相手に葉巻を吸っているといろんなことを考えます。
過去に訪れたミクロネシアの島、突然のスコール、誰もいない無人島で見上げた満天の空、でも今現実として自分の前にあるのは残り30分ほどになった今日の葉巻。
残り30分、今と向かい合う自分を煙に隠し、過去の過ぎ去りし時間を楽しむことは、私にとって明日からの煩雑な日々を有意義な時間に変えてく糧となるのです。

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